いろはにほへと
早川達が諦めて、居なくなったのを確認すると同時に、身体から力が抜けた。
「ふーーー、助かった」
今日の所は、これ以上の追跡はないだろう。
民家に入ったのが正解だった。
ここだったら。
「ごめん、ありがとな。」
少しの間、隠れるには打ってつけかもしれない。
女の子を解放してあげて謝ると同時に、俺は無理を承知で彼女に向き直る。
「ありがとうついでにお願いがある。」
少しだけでいいから。
「俺を匿ってくれない?」
女の子がぽかーんとしている様子が、開いた口を見れば察することができる。
これだけ広い家だから、他に誰か家族がいるのかもしれない。
家主にしては、少し若いようだから、頼むのは他の人なのだろうか。
とにかく、相手の反応を待った。