学園スパイラル~デッドヒートに焦らせて~
 この季節になると夜は早くにやって来る──外の暗闇に、ぽつりぽつりと街灯の明かりがぼんやりと浮かび、さしもの人魂のようでもある。

 十字の形に建てられた校舎は、街の呪いかお護りなのか。

 きっと気まぐれなんだろうと思いつつ、暗い廊下を二人は歩く。

「主にどの辺り?」

「えーとね。ああ、あっちの方に歩いていくみたい」

 三階の職員室前で立ち止まり健に尋ねると、少年は建物の中心を指差した。

「なるほど、戻ってくるかな?」

「校舎の東棟だけぐるぐるしてるらしいから、戻ってくるんじゃないかな」

 そんな情報を、誰がどう知ったのかは謎だが待ってみる事にした。
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