学園スパイラル~デッドヒートに焦らせて~
「来たね」

「え、どこ?」

 笑みを浮かべて東を見ている匠に同じく顔を向けるが、健にはさっぱり見えない。

「さあ、行きなさい」

 匠はそう言って、何も無い足下から何かを東に促した。

「なに?」

「実はあれは、お母さんの霊だったんだよ」

 徘徊していたのは、自分の子供を捜していたから。

「あ~、親子の霊だったの?」

 健は子供の走る足音だけを聞いて、そちらに顔を向ける。

 なんとなく薄ぼんやりとした光が見えるような見えないような、気のせいのような気もする。
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