学園スパイラル~デッドヒートに焦らせて~
 足音から察するに、十歳未満だろうか。

「うん。その子供の霊が迷子になっていたんだよ」

 子供の霊は、親を捜してずっと西棟を徘徊していた。

「それじゃあ出会えないはずだよ」

 呆れて肩をすくめた。

 お化け屋敷に引き寄せられて匠に出会わなければ互いに迷い、悪霊化していたかもしれない。

 この親子は父親を病気で亡くしその後、買い物帰りに事故で命を落とした。

 つまりは──

「父親もどっかにいるってこと?」

「この敷地内にはいるかもね。明日から他の七不思議を調べてくれないかな?」

「え~?」

 不満げな健に人差し指を立てる。
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