学園スパイラル~デッドヒートに焦らせて~
「他の奴にも、二年のお化け屋敷は絶対に行くように言ってありますんで!」

「それはありがとう」

 笑みを浮かべ、さしたる感情が見て取れない声色で返す。

「はーい、お待たせ! あ、鴨居さん」

「うっす! 健さん!」

 二つのトレイを持って戻ってきた健に、腰を低く挨拶する。

 そもそも、健をカツアゲしようとして失敗した結果がこれなのだが、隼人にとっては運の良い事だったのかもしれない。

 つまるところ、周防 匠に勝てた者は現在まで存在していない。

 それを踏まえれば、お化け屋敷での出来事は納得がいくだろう。

 ──二人は食事を終え、隼人をほったらかしに匠はお化け屋敷に、健はサッカー部の助っ人にとそれぞれが向かった。
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