学園スパイラル~デッドヒートに焦らせて~
「あ、おかえり~」

 とりあえず白装束を着て、匠の代わりに椅子に座っていた女生徒が立ち上がる。

「ただいま」

 腰を落として暗闇に目を向けた。

「なんだい?」

「え?」

 外に出ようとした女生徒は呼び止められたのかと向き直る。

 しかし、自分に声を掛けたのではなさそうだ。

「ああ、それなら心当たりがあるよ。これが終わるまで待っていて」

「……誰かいるの?」

 素敵な笑顔で誰かと話していたようだけど。

「君は気にしなくてもいいよ」

 にこりと微笑まれ頬を赤らめるが、彼の様子に背筋に冷たいものが走った。

 独り言、そうよ独り言よ。

 周防くんなら独り言でも様になっているのよ!

 言いしれぬ恐怖と不安と天使の微笑みに混乱し、訳のわからない理由をつけて無理矢理に納得し足早に外に出た。
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