元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~
ギギギギギ―――――ッと豪奢(ごうしゃ)な門が開く。
目の前には、首を思い切り曲げても屋上が見えない、大きくて黒いビルが建っていた。
これが・・・殺し屋組織ブラックキャット。
「知紗ちゃん。
今から入る。
何言われても答えないことと、僕より前に出ないことを約束できる?」
「勿論です」
「本来一般人が入ることは不可能だ。
見つかれば・・・命はない」
「・・・ッ」
「引き返すなら今だ。戻る?」
「いえ・・・入ります」
「じゃ、約束を守るように」
「はいっ!」
ビルの高さの割には小さな自動ドアを入っていく。
中は、ドラマとかで見かけそうな受付嬢が座っていた。
昼間訪れれば、普通のエリート会社と間違えそうだ。
セキュリティが厳しいし、暗いけど。
「これはこれは、アイス様。
本日はどのような御用でいらしたのですか?」
「ボスに会いたい」
「ご用件をお聞きしても?」
「この間ボスからある会社の情報が欲しいと連絡を頂きました。
昨日その情報を手に入れることが出来ましたので、お届けに参りました」
「ではボスにお繋ぎいたします。
少々お待ちください」
「はい」
小さく手招きされ、和泉さんの後を追いかける。