元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~
和泉さんは黒く大きな扉の前で立ち止まった。
その扉を、ノックする。
「アイスです。
この間依頼された会社の情報を持って参りました」
「・・・入れ」
中から聞こえたのは、紛れもなく、恭真の声。
ボスなんだ・・・と改めて実感した。
「失礼いたします」
「悪かったな突然」
いつもとは違う雰囲気で、お葬式に着て行くような黒い服に身を包み、恭真は振り返る。
チサに気が付き、目が一気に見開かれる。
「知紗・・・!?
何故、ここにいるんだ?」
「恭真に会いたかったから!」
「はっ?
俺に何か用でもあれば、メールでも良かったはずだろ」
「メールじゃ駄目だから!」
「あぁ・・・そうなのか。
アイスとは、どういう知り合いだ?」
「紅羽と神崎に頼んだの。
そうしたら、和泉さんを紹介された」
「あの2人は・・・」
恭真は呆れ顔のまま和泉さんに振り返る。
「よく断りませんでしたね。
お金、もらっていないはずなのに」