元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~
思い出
☆恭真side☆
俺は知紗を客間に通した。
封筒を更に奥の部屋にいるお父様に渡し、俺は座る。
「何か飲むか?」
「ううん、大丈夫」
「ここまでアイスの力を借りて来たのか?」
「そうだよ」
「何かされなかったか?」
「大丈夫だよ」
まぁアイスなら、誰も逆らえないだろう。
いきなり傷を負わされたとしても、後日アイスの情報収集能力によってソイツの人生は転落し、殺し屋を辞めるだろうからな。
それほどアイスは力を持っている。
普段温厚で物腰も柔らかいから、想像はつかないけど。
「恭真、チサはね」
「うん」
「恭真が、好きなの」
「・・・うん」
「前に言ったよね?
恭真がどんな人でも好きになるって。
チサは恭真の中身に惚れたの。
確かに最初は顔目当ての一目惚れだったけど、今は違う。
恭真の将来がわかった今でも、チサは恭真が好き―――キャッ!」
俺は知紗を抱きしめた。
「知紗・・・俺も好きだよ。
だから・・・俺の話、聞いてくれるか?」
知紗は小さくうなずいた。