元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~







「ありがとうアイス」

「ぼっちゃまのせいで、お母様はお亡くなりになったのですよ」

「・・・僕のせい?」

「ええ。
ぼっちゃまはご存知ないと思いますが。
普通、人を殺すと、人は罰せられるのです」

「罰せられる・・・?」

「法律と言うものが世には存在します。
その法律の中で、人殺しはいけないと書かれているのです。
しかしぼっちゃまは、この間人を殺した。

お母様はそれをヒドく嘆き、自殺されたのですよ」

「僕が、人を殺したから・・・?」




ガチャンッとオレンジジュースがはいっていたグラスが落ちる。




「お母様は、ぼっちゃまに人を殺してほしくなかったのですよ。
しかしぼっちゃまは人を殺してしまった。
きっとこれからも、ぼっちゃまは人を殺しながら生きて行くでしょうね」

「そんなの嫌だ!」

「反論は聞けませんね。
ぼっちゃまの家は、古くから続く殺し屋を育成する会社。
ぼっちゃまはやがて大人になったら、その会社の1番偉い人物となるのです。
そうしたら、殺しは当たり前になるでしょうね」

「会社を潰すことは出来ないの?」

「生憎、人は人を許せるほど発展しておりませんからね。
依頼は続くでしょうね」

「・・・そんなぁ・・・・・ッ」



俺は泣いた。

変えられない現実を突きつけられて。






俺はもう、誰かを好きになんてならない。

俺が好きになり、母親と同じ立場の人間を作ったら、その人は自殺してしまう。




もう・・・そんなのは

嫌なんだ。









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