元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~








1度は諦めようとした恋だけど。

紅羽に説得され、俺は知紗に告白した。



でも。

ついこの間だったんだ。



母親の命日が。



命日が訪れ、俺は思いだしたんだ。

母親が何故自殺という最悪な最期を迎えたのか。

その理由を。



母親を自殺に追い込んだのは、紛れもない俺。

人を殺すことに何の抵抗も持たなかった、幼き頃の俺が原因だ。


俺が知紗と結婚したら、ブラックキャットを継ぐ子どもが出来るだろう。

その子どもは、立派に継ぐため、幼い頃から銃に慣れ親しむだろう。

・・・俺のように。


知紗は決して殺し屋ではない。

母親のように、慣れない世界で倒れてしまうだろう。


・・・いつかは母親のように、自殺してしまうかもしれない。




なら、俺と一緒にならず、別の男と幸せになった方が良い。

俺が好きな子には、世界一幸せになってほしいから。



初めて、好きだと思えたんだ。

初めて、大切にしたいと思ったんだ―――・・・。






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