元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~










☆☆☆




その後、僕らは遊園地を別れた。

「楽しかったですか?」とスタッフさんに聞かれ、僕の代わりに陽詩は答えた。

「はい、とても楽しかったです」と。

涙をうっすら浮かべながら、陽詩は名前の通り、太陽のような笑顔を浮かべた。

そのまま僕らは別れた。




それ以来、僕らは会っていない。

陽詩さんの名前が偽名だと言うので、探す術もない。




僕はいつも通り、夜のバーで使うグラスを磨いていた。

目の前には、紅羽&澪鵺、知紗ちゃん&恭真くん、花菜ちゃん&総司くんが、カキ氷を食べていた。

紅羽と澪鵺が言ったのか、最近は紅羽と澪鵺の友達まで来るようになった。

皆して「美味しい」とカキ氷を食べる。



「・・・どうしたんですか氷さん」

「澪鵺・・・」



じゃんけんに負け、皆のグラスを持ってきた澪鵺が尋ねてくる。




「氷さんらしくないですね」

「そう?」

「妹さんと、なにかありましたか?」



・・・妹。

そうか、紅羽も澪鵺も、陽詩を妹だと信じているんだ。








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