元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~
☆☆☆
修学旅行最終日は、紅羽(くれは)と神崎が寝不足で回れないそうなので、恭真が代わりに班長を務めることになった。
実はカナ、恭真のこと、好きだったんだ。
今は恭真、カナとも話すけど、カナより親友である知紗(ちさ)といた方が楽しそうだし、知紗も恭真と話している時キラキラしているから。
多分お互い両思いなんだろうな。
羨ましいな、恋が出来て。
カナは告白されたけど、恋なんて・・・。
「花菜チャン!あそこのお店行こうよ!」
堂々と道の真ん中で、総司は手をつなぎ、カナを引っ張る。
その引っ張る力、最初は痛くて「痛い痛い」言っていたけど、今は慣れた。
この力強さが、男らしくて。
この人なら、頼れそうだなぁって思えたんだ。
「あ、あのソフトクリーム美味しそうじゃねぇか?
たこ焼き味だって!」
「美味しそうだね。食べるの?」
「・・・オレ、実は今回、土産代持ってきていなくて」
「はっ!?
何しに旅行に来たのよ!」
「んー・・・観光?」
「土産代なくちゃ、観光の意味ないじゃない!」
「オレは十分楽しいけどな」
あらら、強がっちゃってさ。
先ほど総司が興味を示していたたこ焼き味のソフトクリームを売るお店、総司は愛おしそうに見つめていた。
よっぽど食べたいらしい。