元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~








「なんなら、知紗たちにも聞いてみます?」



調子に乗った恭真くんが、3人の女子を呼ぶ。

澪鵺たちが、再び説明する。



すると、驚いたことが起こった。

紅羽が泣きだしたのだ。

黒く大きな瞳から、ボタボタ涙を流す。

ご丁寧に鼻水も。



「く、紅羽!?」



驚いた澪鵺が紅羽に近寄る。

そして幼い子どもをあやすかのように、紅羽の頭をなでた。



「澪鵺が私を裏切るなんて、嫌だよォ!!」



「うわあああんっ!」と紅羽は大号泣。

「俺は紅羽を裏切らないよ」と澪鵺が優しく言うと、紅羽はようやく泣き止んだ。

・・・子どもか、紅羽は。

ティッシュペーパーを渡してやると、紅羽は鼻水をかみ涙を拭った後、僕を見た。



「私は澪鵺を決して裏切りません。
この先喧嘩もするかもしれませんけど、私は澪鵺を愛し続けてみせます。
・・・例え殺したとしても」



ええ?

なんか最後不吉な単語が・・・。




「スイマセン氷さん。
紅羽この間ヤンデレが出てくる小説を立ち読みしたらしくて。
“澪鵺が私のモノにならなかったら、殺してあげるから”って、大真面目な顔で言って来たんです」



澪鵺が謝ってくる。

なるほど、ヤンデレ小説ね。







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