元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~
「さっき和泉さんに渡した手紙と同時に、あたし宛ての手紙があって。
それに住所の人が書かれていたんです。
でも、和泉さんには教えるなと言われていたので、教えなかったんです」
「その手紙がきっかけで、陽詩は僕の妹として現れたんですね」
「ええ、ネタばらしはまた後でです」
陽詩がイタズラっ子みたいな笑顔を浮かべた時、住所の場所に着く。
「・・・ここは」
そこは小さな霊園だった。
「和泉さん、案内します」
陽詩がズンズン行くので、僕はその後を追う。
「・・・!?」
「兄は・・・会わせたかったんです。
和泉さんと・・・ご両親を」
目の前には、枯れかかっている向日葵と、真新しい向日葵が手向けられていた。
「この枯れているのが、生前兄が手向けたもので、この新しいのがあたしです。
本当は枯れた向日葵を捨てようと思ったんですけど、和泉さんから兄が死んだことを教えてもらって、兄に残された少ない時間を使ってお墓参りに来たんだなって思って、捨てられずに置いています」
鞄の中から2輪の向日葵を取り出した陽詩は、1輪僕に渡してくれた。
「どうぞ」