元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~









「コオリ同士がぶつかれば、コオリは溶けると思いませんか?」



コオリ同士が・・・?




「コオリ同士がぶつかればコオリは溶けます。
それにコオリは白いですから、暗い闇の中でも、白い光を放つことが出来るんです。

白ですから、例え和泉さんが闇に染まったとしても、完全に闇になることはないんです。
白い光は誰にも負けない、最強の光なんです!」




心の中にあるコオリをぶつかって溶かしてあげられるように。

誰かを包むだけでなく、ぶつかっていけるように。

暗い闇の中でも光を放てるように。

完全に闇に染まらないように。




「・・・」

「和泉さん知っていますか?
名前は最初に親からもらう、愛情の証なんですよ」

「愛情の・・・証?」

「名前がない子なんて存在しないでしょ?
誰であっても名前は存在するんです。

人は人からしか生まれません。
例え親が誰であっても。

名前は一種の存在価値なんです。
この世界で生きているって証拠なんです」




言いきった陽詩は、恥ずかしそうに顔を赤らめた。




「って、お兄ちゃんからの手紙に書かれていました」

「陽詩・・・」










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