元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~
暫くして、陽也の待つ霊園に着いた。
陽也の所へ行こうとすると、陽也のお墓の前に、男の人が立っているのを見つけた。
「お父さん・・・」
陽詩が声をかけえると、男の人は振り向いた。
「陽詩か・・・」
「お父さん来ていたんだ」
「陽詩が医学部に受かったことを伝えにな・・・。
・・・そちらの方は、陽也の友達か?」
「初めまして、和泉氷と申します。
陽也が亡くなった時、ご連絡した者です」
「あの時の・・・」
覚えていたのか。
さすが医学部卒業なだけあるな。
記憶力抜群だ。
「お父さん、氷くんはね、あたしの彼氏だよ」
「・・・」
頭を軽く下げると、和泉兄妹の父親はふっと笑った。
太陽とまでは言えないが、暖かい笑顔だった。
兄妹の笑顔が暖かいのも、きっと父親の影響だろう。
陽詩によれば、母親はあんまり笑わない人だったらしいから。
「陽詩を、よろしくお願いします」
「はい、勿論です」