元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~
申し訳なさそうに謝る紅羽の瞳には、涙が浮かんできている。
そして溜まり切れなくなった涙は、静かに溢れ出す。
ヒックヒックと嗚咽を漏らしながら、紅羽は泣く。
俺はそっと、紅羽の頭をなでた。
1分も経っていないはずなのに、紅羽の目はもう真っ赤だ。
驚いた潤んだ瞳を俺に向ける紅羽。
俺は微笑むと、フレンチトーストをかじった。
ガリッ
焦げているからか変な音がしたけど。
中身は案外ちゃんとしていた。
外側をちゃんと焦がさず焼けるようになれば、本当に美味いフレンチトーストになるだろう。
「澪鵺!お腹壊しちゃうよぉ・・・」
「安心して紅羽。
俺はそんなに弱くないから。
むしろ紅羽の折角作ってくれたフレンチトースト食べないでいる方が、俺は嫌だな」
「・・・澪鵺ぁ」
ボロボロ大粒の涙を流す紅羽。
本当、紅羽を見ていると、癒されるわ。
「ありがとう作ってくれて」
頬に触れると、ベタリとした感触がした。
「紅羽、顔に何つけているんだ?」