元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~
「・・・ヘックシュンッ」
「どうしたレイ、風邪か?」
「気を付けなさいな。
紅羽チャンに迷惑かけるからな」
3人の話を遠くから聞きながら、私は澪鵺が風邪を引いたことを知る。
顔は赤くないし、しているのはくしゃみだけ。
最近寒くなって来ているからな・・・大丈夫かな?
「紅羽、心配?」
「さっきからずっと神崎ガン見しているしね」
花菜と知紗に言われ、私は頷く。
「そういえば、この間の豪雨あったじゃん?
あれで傘ささずに風邪引いた人、多いみたいだよ」
「あの雨突然だったからね。
傘持っていた人は、数人だったとか」
あの雨は、突然?
私は知紗を見た。
「どういうこと?突然の雨?」
「そうだよ。
天気予報でも1日中晴れでしょうとか言っていたからね」
「外れだったよねーあの天気予報も」
嘘だったの?
あの時澪鵺が言っていたことは。
待ち合わせをしていた、私を濡らさないために。
念のため傘を常備する人は多い。
でも、2本も持つ人なんて、いないだろう。
荷物になるだけだ。
常に鞄の中身が少ない、澪鵺が2本も傘を持つはずない。
天気予報は大外れだったんだから・・・。