元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~
「大丈夫ですか倉片先輩」
体を丸めてしゃがみ込む倉片先輩。
近づくと、倉片先輩はニンマリと微笑んだ顔を上げた。
その瞬間、私は足に痛みを感じた。
右足を見ると、小さく切れていた。
しゃがみ込んでいたからか、力が弱かったらしい。
出血はしているけど、命に関わるほどの出血ではない。
それからまた数分、戦いは続いた。
澪鵺は微動だにせず、私たちの戦いを見つめていた。
倉片先輩は強いけど、脇腹を刺されたことがあるのか、体力は徐々に落ちていった。
私は息一つ乱していないけど、倉片先輩の息は荒い。
「倉片先輩、そんなに澪鵺が好きですか?」
「うるさいっ!」
「好きだから、そんなに必死になるんですか?」
「違う!
あたしはただ・・・あたしはただ・・・・」
「愛されたいんですか?」
私が言うと、倉片先輩はしゃがみ込んだ。
先ほどのように刺されないよう、注意しながら近づく。
先輩は刺してこなかった。
「言われたのよ・・・。
心から人を愛したことないだろって。
あたし・・・悔しくて・・・」