元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~






先輩は泣いた。



「あたし、愛されたいの。
あたしのこと、心から・・・」

「だから澪鵺を?」

「だって、好きなのよ」

「それ、本気の恋ですか?」

「本気の恋・・・?」

「恋ってモノは簡単ではありません。
辛くて苦しくて、でも好きだって思う。
それが恋って言うんです」

「・・・」

「倉片先輩は見た目の美しさにとらわれ続けた。
だから人を本気で愛することを知らないんです。
本気で人を愛したいなら、本気で愛されたいなら、本当の自分をさらけだして行けば良いんですよ」

「本当の、自分・・・?」

「はい。
本当の自分を見せることが出来たなら、また恋をすればいいんです。
あ、澪鵺以外でお願いしますね?」



子どものような目をしていた倉片先輩は、私を見て笑った。

相変わらず可愛いお人だ。



「本当にあなた、カンちゃんのこと好きなのね」

「ええ勿論!」

「カンちゃんも玉置さんのこと大好きよ。
だって、あたしへの敬語直らなかったもの。
自分のこともボクって言って」




学校では澪鵺、私・花菜・知紗・恭真・総司以外には「ボク」で敬語だものね。

しかも倉片先輩は2年生だし。

敬語なのは当たり前だと思いますよ?




まぁ

どんな澪鵺も好きだけどね?






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