元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~
久保田宗助は、オレらの父親の名前だ。
そしてその妻であり母親は、美砂子。
オレを女嫌いにさせ、家を出て行った母親からの手紙だった。
兄貴が怒るのもわかる。
「兄貴・・・」
「行くわけないだろ。
俺らを捨てたくせによ。
お父様が死んだことを知らない女なんて知らねぇよ」
「・・・」
「総司、行ってこい。
この手紙の返事は、俺がしておく。
心配するな。
お前と会わせるつもりは微塵もない」
「兄貴・・・ありがとう」
すこし機嫌の良くなったオレは、駅へ向かう。
初めての電車通学。
緊張するけど、楽しみだ。
「あなた、久保田総司クン?」
ふと聞こえた声。
思わず体がビクッと反応する。
俺は自分でもわかるほどニヤリと微笑みながら振り返る。
オレ、こんなんでもあの人の息子なんだ。
気味悪い笑顔が、その証拠だ。