元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~










「元気そうじゃない」

「そちらも。
朝から手紙くれた時点で、元気だとわかりましたよ」

「フフ、相変わらず嫌いだわ。
あなたのその笑顔。
あの人思いだすもの」



いかにも社長夫人な感じを醸し出す女―――母親は、フフフと相変わらず気味悪く微笑む。

自然と、体が痛む。

母親の笑顔に恐怖していた、あの日々を思い出す。

こみ上げてくる吐き気を、頑張って抑えた。



「来るわよね?
あの人の反応はどぉ?」

「お母様に教えて差し上げましょう。
お父様は亡くなりました。
アナタが家を出て行ってすぐにね」

「亡くなった?
あらそうなの。
残念だわ~。
見てほしかったのに」

「残念そうには見えませんね。
もしかして、お父様を殺害したのはアナタですか?」

「そんなわけないでしょう?
相変わらずウザいガキね。
殺してあげても構わないのよ?
最近またストレス溜まっているし」

「オレは生憎アナタのストレス発散道具ではありません。
オレを殺すのは自由ですけど、アナタ佐伯財閥の社長夫人になるのでしょう?
社長夫人が息子を殺害したなんて世間に知られたら、アナタも佐伯財閥もオシマイですよねぇ?」

「見ないうちにワタシと口喧嘩が出来るようになったのね。
面白くなってきたじゃない?
ちょっとこの後ついてきなさいよ」

「お断りします。
オレこの後入学式ですし」



精神的には、もう限界だ。

今すぐこの場を離れないと、倒れる。







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