元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~









母親はそんなオレのことなど知らず。

パチンッと指をならした。




母親の後ろに停まっていた、この辺では似合わない高級車から、黒服を着た男が数人出てきた。

「失礼します」と言う声と共に、オレの腕が掴まれた。



「連れて行ってちょうだい。
場所はわかっているわよね?」

「かしこまりました、奥様」



へぇ・・・。

この人たち、母親のSPってやつか。




オレはガムテープで口を塞がれ、ロープのようなもので手足を縛られた。

運良く、母親は助手席。

オレの隣には男が座った。




って、入学式・・・。

行きたかったんですけど。



共学入って、女性恐怖症治そうと思っていたのに。

この人は、どこまでオレを追いつめれば良い?

そんなに父親に浮気がバレたのが嫌だったのか?

今でもオレが憎いと思っているのか?



なら殺しても良いよ。

その代わり、オレをここまで養った兄貴のことは傷つけるな。

オレのことはどうやっても良いから。








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