元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~
「何ですの?
良い考えと言うのは」
「彼を、俺にください」
「総司を?」
「ええ、簡単でしょう?」
「構いませんよ」
「かしこまりました。
では彼は頂いて行きますね」
手足を縛っていたロープをほどき、ガムテープを外す。
ずっと塞いでいたから、口元がヒリヒリしたけど、腕の痛みに比べたらマシだ。
「さ、行きますよ。
俺も暇じゃないんでね」
また別の高級そうな車に乗せられる。
ようやく女から解放されたからか、オレの呼吸は荒かった。
「大丈夫か?久保田総司」
「あんた・・・何者ですか?」
「申し遅れました。
俺は小松恭真。
お前と同じ高校の同じクラス」
「はっ?」
「入学式途中で抜け出してきたんだ。
だから今すぐ学校戻るぞ」
「何で、俺のこと?」
「入学式休んだ生徒として有名だし、顔は名簿を見て覚えた。
ちなみにその名簿は勝手に先生たちのを盗んだものだから、先生たちにチクるなよ?
チクったら、お前のこと、即殺すから」
殺気のこもった目で、恭真は言った。