元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~
「ぼっちゃま、そろそろ到着いたします」
「ん、ありがと」
ぼっちゃま?
コイツ、金持ちなのか?
「お前、金持ちなんですか?」
「そうなんじゃない?
殺し屋って儲かるからさ。
1回の仕事で、サラリーマンの年収ぐらいもらえるとか」
それなのに、“そうなんじゃない?”!?
軽いな、コイツ。
「オレも、なるんですか?」
「どうしたい?」
「そりゃあやりたくないですけど・・・」
「なら良いよしなくて。
その代わり、俺のお願い、聞いてくれる?」
「何ですか?」
「その敬語やめて。
俺と同い年なんだから。
普通にタメ口で良いから」
「わかった」
「それと、俺と友達になること。良いね?」
「へっ?」
思わず立ち止まって見ると。
彼は人懐っこい笑みを浮かべていた。
「俺殺し屋じゃん?
少なくとも、表の世界で友達なんて出来ない。
でも、欲しいってなんか思うんだよね最近。
俺がいたから、総司は母親に殺されなくて済んだんだよ?
俺と友達になるぐらい、簡単だよねぇ?」