元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~
バキ―――――――ッ!!
けたたましい音と共に、木の扉が壊れる。
お兄さん、端正な顔を歪め、口をあんぐり開けている。
いかにも戦闘に向かなさそうな女子高生が扉を回し蹴りで壊した。
さすがに信じられない光景だろう。
総司は電気もつけず、カーテンを閉めっぱなしの部屋で本を読んでいた。
あんなにうるさかったはずなのに、身動き一つせずにページを、ただひたすらペラペラ捲っていた。
ある意味怖い光景である。
カナは放心状態のお兄さんを無視し、ズカズカ入る。
そして無言で総司の隣に座りこむ。
「・・・何で来たわけ?花菜チャン」
「気が付いていたんだ?」
「そりゃあね」
ふっと自分には無関係のように笑う総司。
しかし次の瞬間。
カナは思い切り引っ張られ、床を背にして倒れる。
上には総司がいた。