元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~
総司の手は、カナの首元にある。
そのまま総司が力をいれれば、カナは窒息死してしまう。
「総司!?」
「うるせ。兄貴は出て行け」
急いで止めるお兄さんを、総司は鋭い目つきで一喝する。
情けないことに、お兄さんは出て行ってしまった。
多分この兄弟が殴り合いの大喧嘩したら、多分総司が勝つな。
「何で来たの?
オレにこうされることわかって来たよね?」
「ううん?」
「花菜チャン、今のオレは、修学旅行で花菜チャンが知るオレじゃない。
あの時みたいに話せない」
「良いよ殺してもカナのこと」
「はっ・・・?」
「好きな人に殺されるなんて、幸せじゃない?
総司をこの状態にしたのは、カナが総司を信じてあげられなかったから。
今度こそ、信じてあげるよ・・・」
「・・・花菜チャン・・・・」
「お兄さんから聞いた。
色々あったんだね・・・」
世界が段々とにじんでいく。
頬に温かい水が流れ落ちていく。
「カナは、総司を嫌いになんてならない。
総司しか好きになれない。
・・・例え総司が、カナを殺しても。
カナは総司を許すよ」
「花菜チャン」
「花菜だよ総司。
カナは総司と呼ぶのに、総司だけチャン付けは可笑しいよ。
花菜と呼んで・・・総司」
茶色く潤んだ瞳でカナを見つめる総司の唇に、
カナは自分のソレをくっつけた・・・。