元殺し屋と、殺し屋~anotherstory~








お兄さんはニコリと微笑む。

顔立ちは整っているけど、髪型が破壊的。

鳥が巣を作りそうなモワモワした髪。

実験でも好きなのか?

服装は、バーの店員らしくキッチリした黒い服。




「紅羽と澪鵺ならまだ来ていないよ。
何かジュースでも作ろうか?」

「ありがとうございます。
でもあたし、お金あんまり・・・」



人前なので、慣れていない“あたし”を使う。



「大丈夫ですよ。
僕からの奢りですから」

「ありがとうございます」



カウンターの所に座る。

ところでこの人、誰なんだろう?

紅羽と神崎の知り合いらしいけど。



「どうぞ」

「ありがとうございます」

「いえいえ、礼儀正しいね」

「あ・・・ありがとうございます」



さっきから「ありがとうございます」しか言っていない。

何言えば良いのかわからないんだもの・・・。








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