明日の地図の描き方
「小野山さんって、ホントに真面目な方…と言うか、意志が固いんですね」
ある意味、とっても心の強い人。だからポリスになったのか。
「羨ましいです。真似できないけど…」
私みたいに、考えも無しに仕事辞める人間とは、比べものにならないや。
「僕は逆に前島さんが羨ましいですよ。何でもやってみようと、すぐに思えて」
えっ⁉︎ それって褒め言葉⁉︎
「テキトーなだけですよ。気持ちだけ。意志なしですから」
思いついた事、行動に移すだけ。その場しのぎですって、笑って付け加え。
「でも、それはある意味、勇気いりますよ。いろんなリスクも背負いますしね」
うーん…まぁ、そう言われるとそうだけど…。
「でも私、ホントは今みたいな自分じゃなくて、違う自分になりたいんです」
「違う自分?」
「はい。もっと、気持ちに素直な自分。ごまかしたり逃げたりしない、そんな自分になりたいです」
こんな話すること自体、少し妙だよね。
「前に言ったでしょ。仕事場で笑えなくなった…って」
「ああ…」
思い出しました?
「相手の気持ちに同調し過ぎないように感情コントロールしてたら、表に出せなくなってしまって。だから今も時々、いろんな事セーブしてしまうんです。もう誰にも、遠慮しなくていいのに…」
何故かすんなり話してしまってる。小野山さんがポリスだから?
「この間のお婆ちゃんの時も、ホントは関わるのやめようと思ったんです。関わった後、自分が落ち込むの分かってたから」
「落ち込む?人助けで?」
ポリスらしい考え。あれを人助けと思えるんだ。
「私は、半ば嘘ついて作り笑顔で接する自分が、嫌で堪らなかったです…。ご家族の方にお礼を言われるのも、小野山さんに感謝されるのも…」
言葉詰まる。
思わず俯いた。
「…全部、辛いです…」
ホントは考えなければ…気づかなければ…挫折する事もなく、仕事を続けられたのかもしれない。でも…
「私はもう、作り笑顔で人の前に立つのは…イヤで…」
泣きそうになって、ぐっと我慢する。こめかみが痛くて、目の奥に涙が潤んでた。
「嫌なら嫌でいいじゃないですか。我慢しなくても」
ポン…っと投げられた言葉。思わず小野山さんを見た。
「もう仕事辞めたんだから、誰にも気を遣わなくていいじゃないですか。それに、ここは山の上だし、例え泣いたとしても、下には届きませんよ」
飾りも何もない言い方に、返って胸が熱くなった…。
ポトッ…一粒落ちたのが引き金になった。
「……ぐっ…」
(あーダメだ…涙出てきた…)
「ぐすっ…ぐすっ…」
溢れてくる。気遣わなくていいなんて言葉に、簡単に同調したくないのに…。
(止まらない……)
「うっ…」
漏れた泣き声に反応するかのように、小野山さん、私の頭撫でた。よしよし…って、子供みたいに。
たった、それだけなのに。
「うっ…ううっ…うっ…ぐっ…ぐす…」
遠慮なく、泣いてしまった。
ずっとずっと吐けなかった、十二年分の思いや辛さ。
悲しくても、我慢してきた胸の痛み。
一気に噴き出して、零れ落ちていった………。
ある意味、とっても心の強い人。だからポリスになったのか。
「羨ましいです。真似できないけど…」
私みたいに、考えも無しに仕事辞める人間とは、比べものにならないや。
「僕は逆に前島さんが羨ましいですよ。何でもやってみようと、すぐに思えて」
えっ⁉︎ それって褒め言葉⁉︎
「テキトーなだけですよ。気持ちだけ。意志なしですから」
思いついた事、行動に移すだけ。その場しのぎですって、笑って付け加え。
「でも、それはある意味、勇気いりますよ。いろんなリスクも背負いますしね」
うーん…まぁ、そう言われるとそうだけど…。
「でも私、ホントは今みたいな自分じゃなくて、違う自分になりたいんです」
「違う自分?」
「はい。もっと、気持ちに素直な自分。ごまかしたり逃げたりしない、そんな自分になりたいです」
こんな話すること自体、少し妙だよね。
「前に言ったでしょ。仕事場で笑えなくなった…って」
「ああ…」
思い出しました?
「相手の気持ちに同調し過ぎないように感情コントロールしてたら、表に出せなくなってしまって。だから今も時々、いろんな事セーブしてしまうんです。もう誰にも、遠慮しなくていいのに…」
何故かすんなり話してしまってる。小野山さんがポリスだから?
「この間のお婆ちゃんの時も、ホントは関わるのやめようと思ったんです。関わった後、自分が落ち込むの分かってたから」
「落ち込む?人助けで?」
ポリスらしい考え。あれを人助けと思えるんだ。
「私は、半ば嘘ついて作り笑顔で接する自分が、嫌で堪らなかったです…。ご家族の方にお礼を言われるのも、小野山さんに感謝されるのも…」
言葉詰まる。
思わず俯いた。
「…全部、辛いです…」
ホントは考えなければ…気づかなければ…挫折する事もなく、仕事を続けられたのかもしれない。でも…
「私はもう、作り笑顔で人の前に立つのは…イヤで…」
泣きそうになって、ぐっと我慢する。こめかみが痛くて、目の奥に涙が潤んでた。
「嫌なら嫌でいいじゃないですか。我慢しなくても」
ポン…っと投げられた言葉。思わず小野山さんを見た。
「もう仕事辞めたんだから、誰にも気を遣わなくていいじゃないですか。それに、ここは山の上だし、例え泣いたとしても、下には届きませんよ」
飾りも何もない言い方に、返って胸が熱くなった…。
ポトッ…一粒落ちたのが引き金になった。
「……ぐっ…」
(あーダメだ…涙出てきた…)
「ぐすっ…ぐすっ…」
溢れてくる。気遣わなくていいなんて言葉に、簡単に同調したくないのに…。
(止まらない……)
「うっ…」
漏れた泣き声に反応するかのように、小野山さん、私の頭撫でた。よしよし…って、子供みたいに。
たった、それだけなのに。
「うっ…ううっ…うっ…ぐっ…ぐす…」
遠慮なく、泣いてしまった。
ずっとずっと吐けなかった、十二年分の思いや辛さ。
悲しくても、我慢してきた胸の痛み。
一気に噴き出して、零れ落ちていった………。