明日の地図の描き方
パスポート見せて幕をくぐると…。
「さすがに真っ暗ですね。前島さん、足元気をつけて」
護衛感働いてる。やっぱりポリスだな、この人。
「大丈夫です。それより小野山さん、ホラーハウスは平気なんですか?」
さっきの落ちるやつは相当ビクついてたけど…。
「これでも仕事が仕事なんで、少々な事じゃ驚かないですよ」
…て言ってる側からプシューと蒸気出たり、人形がぶら下がって来たり。
「楽しいですねぇ」
こんなホラーハウス楽しむ人って、私くらい?
「あんまり怖くないですね」
「あっ…その考え甘いですよ」
言ったすぐ後に壁が反転。小野山さんの真横に白い着物着たユーレイが現れた。
「うわっ‼︎ 」
ほらね。思った通り。これだから楽しいんだって!ホラーハウスは。
明るい日差しの中に出て来た小野山さん、やれやれって顔してた。
「前島さんはお化けとか幽霊とか、全然平気なんですね。中で唄ってたでしょ」
「あ…聞こえてました?」
ごめんなさい、悪い癖。あまりの楽しさについ、口ずさんでしまうのよね。
「私、この世で一番怖いのは生きてる人間なので、返ってこういう所の方が安心するんです」
ずっと、いつ亡くなってもおかしくない感じの人達ばかり見て来てたからか、その方がよっぽどスリルある。
「強い人ですね」
「ふふっ。よく言われてました」
「ミオは強いね。滅多に泣かないもんね…」
同僚に何度か言われた事がある。
泣かないんじゃない。泣けなかっただけ。悲しくて仕方ない時も、今は泣く時じゃないって。
私達はプロとして、きちんと見送るまでが仕事だと、思ってたから。
泣く事も笑う事も、どこか無理してた。だから感情出せなくなって挫折した。
(人間生きてるんなら、笑いたい時に笑って、泣きたい時に泣けば良かったのに…)
空見上げて、そんな事ちらっと考えてたら、小野山さんがよしっ!て声上げた。
「前島さん、さっきの落ちるやつ、挑戦しましょう!」
「えっ⁉︎ でも…小野山さん、大丈夫なんですか?」
さっきすごく怖がってたじゃん。
「僕、前島さんの叫び声、聞いてみたくなりました」
「私の叫び声⁈ 」
「キャーキャー言うの。聞いてみたいです。だから行きましょう!」
行きましょう…って、ええっ⁉︎ 手繋いで〜⁈
ホラーハウスから走って二分。着くには着いたけど…
「さすがに高いですね…」
真下から見上げると、かなりゾッとする。“お試し”の中でも、最上級クラスだ…これ。
順番待ってる時から結構ドキドキ。
この待ってる時間が、一番心臓に悪い…。
並んで三十分。次が番って時になって、ずっと黙ってた小野山さんが口開いた。
「前島さん、もし僕がダウンしたら、後の介抱、お願いします…」
「はぁ…」
ーーそんなに心配しなくても、上がって下がるだけじゃん…。
……なんて、思ったけど…
「ひぃっ!キャーーーーッ!!」
ーーーー叫んだわ…やっぱり…
「さすがに真っ暗ですね。前島さん、足元気をつけて」
護衛感働いてる。やっぱりポリスだな、この人。
「大丈夫です。それより小野山さん、ホラーハウスは平気なんですか?」
さっきの落ちるやつは相当ビクついてたけど…。
「これでも仕事が仕事なんで、少々な事じゃ驚かないですよ」
…て言ってる側からプシューと蒸気出たり、人形がぶら下がって来たり。
「楽しいですねぇ」
こんなホラーハウス楽しむ人って、私くらい?
「あんまり怖くないですね」
「あっ…その考え甘いですよ」
言ったすぐ後に壁が反転。小野山さんの真横に白い着物着たユーレイが現れた。
「うわっ‼︎ 」
ほらね。思った通り。これだから楽しいんだって!ホラーハウスは。
明るい日差しの中に出て来た小野山さん、やれやれって顔してた。
「前島さんはお化けとか幽霊とか、全然平気なんですね。中で唄ってたでしょ」
「あ…聞こえてました?」
ごめんなさい、悪い癖。あまりの楽しさについ、口ずさんでしまうのよね。
「私、この世で一番怖いのは生きてる人間なので、返ってこういう所の方が安心するんです」
ずっと、いつ亡くなってもおかしくない感じの人達ばかり見て来てたからか、その方がよっぽどスリルある。
「強い人ですね」
「ふふっ。よく言われてました」
「ミオは強いね。滅多に泣かないもんね…」
同僚に何度か言われた事がある。
泣かないんじゃない。泣けなかっただけ。悲しくて仕方ない時も、今は泣く時じゃないって。
私達はプロとして、きちんと見送るまでが仕事だと、思ってたから。
泣く事も笑う事も、どこか無理してた。だから感情出せなくなって挫折した。
(人間生きてるんなら、笑いたい時に笑って、泣きたい時に泣けば良かったのに…)
空見上げて、そんな事ちらっと考えてたら、小野山さんがよしっ!て声上げた。
「前島さん、さっきの落ちるやつ、挑戦しましょう!」
「えっ⁉︎ でも…小野山さん、大丈夫なんですか?」
さっきすごく怖がってたじゃん。
「僕、前島さんの叫び声、聞いてみたくなりました」
「私の叫び声⁈ 」
「キャーキャー言うの。聞いてみたいです。だから行きましょう!」
行きましょう…って、ええっ⁉︎ 手繋いで〜⁈
ホラーハウスから走って二分。着くには着いたけど…
「さすがに高いですね…」
真下から見上げると、かなりゾッとする。“お試し”の中でも、最上級クラスだ…これ。
順番待ってる時から結構ドキドキ。
この待ってる時間が、一番心臓に悪い…。
並んで三十分。次が番って時になって、ずっと黙ってた小野山さんが口開いた。
「前島さん、もし僕がダウンしたら、後の介抱、お願いします…」
「はぁ…」
ーーそんなに心配しなくても、上がって下がるだけじゃん…。
……なんて、思ったけど…
「ひぃっ!キャーーーーッ!!」
ーーーー叫んだわ…やっぱり…