初恋と思い出の場所
「なっ…なっ…!」
私は言葉が出なかった。
好き…?
私が…秋山くんを…?
「美冬、気づいてないだろうけど、いっつも秋山のこと見てるよ。しかも愛おしそうに。これは恋ね!私にはわかる!」
「こ、恋!?」
彩音の言葉に、私はただただ驚くことしか出来なかった。
確かに秋山くんのことは、意識…してる。
意識はしてるが、これは恋なのだろうか。
私は恋愛をした経験がない。
だからこの感情が恋なのか、今の私にはよくわからなかった。
「よく…わからない」
私はそう呟いて俯いた。
確かに私の中で、秋山くんは特別な存在になっている。
けれど、その感情に名前を付けることは、今の私にはまだ出来ない。
「まぁ、頑張りなさいな。私は美冬を応援するよ」
彩音がそう言ったところで、待っていた電車が到着した。