初恋と思い出の場所


「「失礼します」」



私達がそう言って保健室に入ると、保健室の先生が驚いた顔で秋山くんを見た。

女の先生だ。



「ちょっと、どうしたの?その鼻血」



先生は秋山くんを枕を高くしたベッドに寝かせ、鼻を摘むように指示した。



「そうしてればすぐ収まるから。でも入学式には間に合わないかもねー」



と、先生が呑気にそんなことを言った。


え、入学式出られないんですか秋山くん。

顔面強打だけでも可哀想なことになってるのに、入学式出られないんですかこの人。

可哀想に。



「あの、私はこれで失礼します」



私は哀れだとは思いながらも、自分は入学式へ向かおうと保健室を出ようとした。


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