初恋と思い出の場所
私は溜め息交じりに、秋山くんに答えた。
「そうだよ、水谷。最悪の入学式をありがとう顔面強打の鼻血くん」
「いや、だから悪かったって!俺だって好きで転んだんじゃ…」
それはわかってますけど!
逆に哀れでしたけど!
「ごめん、本当」
鼻血が治まったのか、ベッドから起き上がって、秋山くんが真剣に謝って来た。
その表情があまりにも真剣で、思わずその瞳に見入ってしまう。
「い、いいよ別に。逆に入学式より思い出になりそうだし」
私は秋山くんのその視線に戸惑い、目を逸らしながらそう言った。
男の子からそんな目で見られたことなんて無かったものだから、少しドキドキした。