君を思ふ
その人は、少し顔をしかめてから言葉を発した。
「・・・・京、だが?」
・・・それも衝撃的な一言を。
『え?』
京、とは間違いなく京都のことだろう。でも、今の時代にそんなふうに呼ぶ者はいないはず。
しかも、私の住んでいる地域とはかけ離れたところだから、とても一瞬で来たとは考えられない。
周りに広がる、低い建物ばかりの景色。
当たり前のように着物姿の人々。
京、という時代遅れの京都の呼び名。
これらを考えた私の頭の中に浮かんだのは、1つの確信めいた言葉だった。
『タイム・・・スリップ・・・』