ラン・エ リーズ
――――…‥
「…」
リュンヌは
エスト街の地下にいた。
外部から複数の足音と
轟々と燃える音がする。
リュンヌは
目の前に並ぶ貯蔵用のタンクをみすえ、
片手を揚げた。
「…θ~―…」
広げた掌の先に
淡い碧色の光が集まると、
辺りの風がリュンヌを
中心に渦を巻き、舞い始めた。
「…行け」
その言葉と共に
目の前のタンクに切れ目が入った。
地下にあった道は
水でいっぱいになった。
そこにはもうリュンヌの姿は
なかった。
いつの間にか、
彼は建物の上にいた。