ラン・エ リーズ
持ち上げたカップの中、
紅い茶は小さな波紋を作っている。
ゲビンはそれを見つめながら
口を開いた。
「お前が15で将軍になる前から
俺はお前を見てきたんだ。
お前がすることなんて
わかってる。
その上で
俺が協力しよとしてんだ。
心強いだろ?」
レイは口をつぐみ
僅かに下を向いた。
紅茶もさすがに
冷め始めている。
また二人の間に
沈黙がやって来た。
だが今回は
ゲビンはレイの声を待った。
するとレイは
ふぅーと息を吐いた。
決心ついたようだ。
清々しく、
凛としたレイは
やはりリュンヌの兄なのだと思う。
そして、
どこか悲しげな儚いものを見守るような瞳は
また、
リュンヌの兄なのだと思う。