ラン・エ リーズ
――――……‥‥
「父上、
本当でこざいますか。」
驚いた様に見せているが、
まぁ演技だ。
いつも、
薄い笑みを浮かべ
何事もさらりとやってのけてしまう男。
この男の父は
西のコージュの殿といえる立場だ。
「シュクル、
本当だ。」
大男以外の言葉が
見つからない。
無数の傷に、
分厚い皮膚。
深く低い声は
威厳を感じさせる。
赤ともいってもいい
酷く濃い赤髪の下から覗く目は
狼のように厳しくて鋭く、
見ただけで威圧と似たものを思い出させる。