ラン・エ リーズ


「あなた、
どうして濡れているの?」




「…いえ、どうもございません。
…御構い無く。」






とまた
頭を下げた。


だがしかし、
またミニオンヌによって
無理矢理顔を上げさせられる。







その行動に、

いつも無表情なはずのリュンヌの顔が
初めて表情を露にした。




レイはその様子を見て、
思わず目を見張った。


いつも閉じた口を僅かに開け、
呆気に取られたようだ。






と言っても普通の人の表情と比べれば
少し変わったぐらいなのだが、

それでもリュンヌが
ここまで表に出すのは初めてである。







―いつも先の先を読むあいつでも
女王の行動は想定外ということなのか―











「ねぇ、リュンヌ。

私はあなたが気に入ったわ。
だからまた会って下さる?

私あなたともっともっとお話して
もっともっと知りたいの。」








すると
リュンヌは傷付いたような顔をした。



いや、
気のせいかもしれない。




リュンヌは
やはり顔では気持ちが全く読めないのだ。







「…そんな恐れ多いことできません。」








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