ラン・エ リーズ
「もっと、あるのだろうか」
知らないこと。
知らない風景。
知らない歴史。
知らない文化。
リュンヌは景色の見渡せる広場へと
出た。
そこはちょっと日が落ち始め、
紅い空にほんのり紫が入り込んでいた。
「もし、そうなら…」
リュンヌは顔を上げた。
暗かった瞳に、
初めて光が見えた気がする。
まるで小さな子供が
新しい世界を欲するように、
目をキラキラさせる。
「…見てみたいな。」
外に広がる世界があると知った一人の青年は
この時
旅立ちを決意した。
そしてこの時より
世界の歴史も大きく変わる。