ラン・エ リーズ
気がつくと、
まだあの町の中にいた。
砂煙の中、
顔を懸命に隠しながら歩いていた。
「おやめ下さいっ」
少し先から
女の人の声がした。
正しくは風がその声を
乗せて来てくれたのだ。
リュンヌはその風が
導いてくれた通りに走る。
すると、背の低い女の人が
持ち物を男たちに取られそうになっていた。
リュンヌは腰にさした剣に手を置き、
さっき買ったロープを手にした。
―――サッ
彼の後ろから、
風が通り過ぎて行った。
ふと見たときには
女性の前にもう1人男が増えていた。
どうやら
あの女性を助けようとしているらしい。