ラン・エ リーズ

シュクルとマリアは
不思議な感覚に陥っていた。


彼の声は
本当に風だった。


音が聞こえたと思ったら
風がスーッと音と共に入ってきたのだ。


でもその風は
どこか冷たいような刺さるようなもので
胸に風のあとを残された気持ちになった。





二人がぼーとしている間に
リュンヌはスタスタと歩いていた。





リュンヌは自分の声が発するその力を
全て把握しているわけではない。


多少は
わかっているものの知ってるのは
自分の声は風が運んでくれている、
ということだけなのだ。


だから
なぜ二人が静止しているのか
わかっていないのだ。







「…リュンヌ殿!」


シュクルが
マリアを連れて追いかけてきた。


それでも特に止まる様子を見せず
リュンヌはスタスタと歩いていた。








だが
リュンヌは行きなり止まった。



何かを思い出したように。



そして
シュクルの方に振り向いた。







驚いた二人は
リュンヌに合わせるように止まった。
















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