冷たい手
1、雨降りの山道に
その日は雨が降っていた。
バケツをひっくり返したような… そんな言葉がとてもあう雨だった。
上野ダイチは大雨の中、山道の休憩場に車をとめて、ガードレールの向こうを見ていた。
まだそこまで遅い時間でもないのだけれど、空は雲に覆われていて、とても暗かった。
フロントガラスに無数の雨が落ちる。ガードレールには、花が捧げられていた。
そこは人も車もあまり通らない山道で、車は雨でもスピードを出している。
ダイチの車が止まるすぐ前の道を、ずぶ濡れのライダーと車が、早いスピードで通った。
この休憩場にも、雨もあってか車はダイチのもの一つだけだ。
ダイチは目の前の、その山道を見つめていた。そして、瞬きを一つした。
その瞬きを一つするくらいの少しの時間に、山道に変化が起きた。
ダイチの視界の中に、一人の女性が現れたのだ。その女性は傘も持たずに歩いていた。
その姿は異様だった。不審者と言っても良い。
こんな大雨の中で、傘も持たずに歩き回るのはおかしい。
おかしいけれど、ダイチにはそれが気になってしまった。
バケツをひっくり返したような… そんな言葉がとてもあう雨だった。
上野ダイチは大雨の中、山道の休憩場に車をとめて、ガードレールの向こうを見ていた。
まだそこまで遅い時間でもないのだけれど、空は雲に覆われていて、とても暗かった。
フロントガラスに無数の雨が落ちる。ガードレールには、花が捧げられていた。
そこは人も車もあまり通らない山道で、車は雨でもスピードを出している。
ダイチの車が止まるすぐ前の道を、ずぶ濡れのライダーと車が、早いスピードで通った。
この休憩場にも、雨もあってか車はダイチのもの一つだけだ。
ダイチは目の前の、その山道を見つめていた。そして、瞬きを一つした。
その瞬きを一つするくらいの少しの時間に、山道に変化が起きた。
ダイチの視界の中に、一人の女性が現れたのだ。その女性は傘も持たずに歩いていた。
その姿は異様だった。不審者と言っても良い。
こんな大雨の中で、傘も持たずに歩き回るのはおかしい。
おかしいけれど、ダイチにはそれが気になってしまった。