冷たい手
5、君は自由に
ミカが台所で薬を飲んでいると、ダイチがパソコンの前でミカを手で呼ぶ。
するとまた、文字を打ち出した。

「えっと…”熱は…”はい。下がったみたいです。ありがとうございます。」

ミカはダイチに微笑みかける。ダイチはそんなミカを見て、不安に思ったことがあった。
ダイチはそれを打ち込む。ミカはそれを読む。

「なに?”熱が下がったのなら… 帰…る”? あ、 あの、私…」

『どうしたの?』

「私、帰る家は、無いんです。」

ダイチはミカの顔を見ながら、どうして?と打ち込んでしまった。

「”どうして?”その… 私、前にいたところに居れなくなって、それで…」
『ごめん。嫌なこと聞いたね。』

その文字に、ミカは首を大きく横に降った。

『それで、あの場所に?』
「… はい。そうです。それで、あの場所にいたんです。」
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