スイートプリンスの恋の魔法 ~愛しきビタープリンセス~
この細くて小さい体で、湖柚は何年間もどれだけのものを背負って生きてきたのだろう。


鞠目と猫野以外は信用出来ない日々を、ずっと送ってきたのだろうか。これからもそうだと、絶望していたんだろうか。


―――――そんな事、させない。


キラキラ輝くハズの風家 湖柚の未来を身勝手な人間達のせいで真っ黒に染めるなんて、オレが許さない。


「………っ、村星君……私もう嫌だよ……己園や七智に迷惑かけるのも、人の目気にしながらビクビク生きるのも……もう嫌だ」


ギュッと抱きしめる力を強めると、胸元から湖柚の切実な訴えが届く。
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