スイートプリンスの恋の魔法 ~愛しきビタープリンセス~
ブンブン掴まれた腕を上下に振るが、村星君は離してくれない。


ならばと左右にも振ってみたが、夏服の制服から伸びる村星君の腕は程よく筋肉がついてカッチリしている。


当然女子の私が力で敵うハズも無く、結局廊下まで連れて来られてしまったのだが――――…今回は更に足を進め、視聴覚室までやって来た。


「村星君、いい加減離してよっ!」


視聴覚室内は人気が一切無くて、大声を出しても誰にも迷惑がかからない。


普段の私らしくない強い態度をとると、村星君はようやく腕を離してくれた。


「………湖柚、ごめん」


「……何が?」
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