スイートプリンスの恋の魔法 ~愛しきビタープリンセス~
視聴覚室からゆっくりと出て行った湖柚の姿を探すと、彼女はきちんと自分の席に着いていた。


ただ目を赤く腫らして、まるで人形の様にボーーーーッと佇む姿は見ていて痛々しい。


――――『オレ』が、泣かせたんだ。


その事実はトゲを幾つも生やしたツルの如くオレの心を締め付け、無意識に胸元を握りしめる。


「んじゃあHR始めるぞぉ。まずは―――――…」


担任が淡々とHRを始めたが、全く耳に入って来なかった。


せんせ…悪いけど、今オレの頭の中は“これからどうするか”って事で埋め尽くされてますから……ご勘弁下さい。
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