初恋ノ音色 〜海ハ今日モ唄ウ〜
エピローグ
海は、穏やかに優しいメロディーを奏でていた。


「はのおばちゃん、遊ぼー」

「ん?何して遊ぶ?」

あたしは、足元にきた、姪っ子の目線まで、腰を下ろした。


「みぃねー、泳ぎたい」

「…え゙…まだ春だから無理よ」

「やーだー、泳ぐー」

むちゃくちゃ言うのは誰に似たのか…。

あたしは苦笑いしながら彼女の頭を撫でた。


「こら、みちる!むちゃ言うな」

お兄ちゃんが走って来て、みちるを抱き上げた。

「やだぁ、泳ぐもーん」


あたしとお兄ちゃんは顔を見合わせて苦笑いした。

「みちるぅ、そんなんじゃお姉ちゃんなれないよ」


ベンチに座っていたひかるが

みちるのオデコを小突いた。


「座ってろよ、ひかる。
お前一人の体じゃないんだから」

「はぁい」


大きくなったお腹をさすりながらベンチに戻るひかる。

その愛しい後ろ姿を

あたしはずっと見つめていた。
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