初恋ノ音色 〜海ハ今日モ唄ウ〜
彼女は、大きな瞳で緩やかな弧を描き

真っ白な歯を見せて、笑った彼女は

「そっか!うん、ちょっと待ってね?先生呼んでくるっ!!」

そう言いながら、コーチのもとへ走っていった。


暫らくすると、コーチの先生がこちらへやってきた。

「マネージャー希望だって?」

…なるほど。

確かにイケメンだ。

切れ長の目に、シャープな輪郭、身長も高くて、女の子にもてるのも分かる。


けれどやっぱり

あたしの目は彼女に向いている。


「助かるよー!!
陸部のマネージャーって、結構キツくてね。
やめてく子ばっかりで、結局部員だけになっちゃってたから、本当にありがとう」


フェンス越しに、コーチはニッコリと微笑みながら言った。

「あ、でも今日はもう終わりだし明日の午後練からお願いしようかな。
里田、お前、彼女送ってやれ!」

「はぁーい。あたし着替えてくるから、ここで待ってて」


そう言うと、彼女は部室に入っていった。


あの子と、一緒に帰れるの?

あたしは小さくガッツポーズをした。
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