Again
スタンドの傍に置いてあったスマホが鳴った。
ベッドから手さぐりで手に取る。
「……ん、……はい」
寝起きのかすれた声で仁はその電話にでる。
『仁? 眠ってたのか? 葵ちゃんは? 着いたんだろう?』
「ああ、潤か。葵?……おい! 今何時だ!」
ベッドから勢いよく身を起こし、時計を見る。
『おい、まだ着いてないのか? 仁?』
「いや、来ていてもおかしくない時間だ……悪い、後で電話する」
仁はスマホを切ると、頭を抱えた。今、自分が置かれている状況が理解出来たからだ。
「桃香……なんでお前がここに眠ってる」
「う……ん、仁、起きたの?」
葵と会った時の様に気怠く起き上がり、髪を掻きあげる。ゆっくりと目を開ける仕草は、計算された色気なのか。
「帰ってくれないか? 妻が来ると言ってあっただろう? こんな時間になっても着ていない所をみると、何かあったのかもしれない。連絡を取って探しに行く」
ベッドから降りて、ガウンを羽織り、ベッドルームを出てリビングに行く。
「奥さん? もしかしてあの女の子が奥さん?」
ベッドから怠そうに言う。
「女の子……? おい! 来たのか!? 桃香!」
ガウンがまるでマントの様に広がるように、仁は身体を反転させ、桃香がいるベッドルームに行く。のんびりとミネラルウオーターを飲んでいる桃香のグラスを取り上げた。
「もう、飲んでるのに何するの?」
再度、もうっといい、不貞腐れる。
「葵が来たのか? そうなのか?」
「私も寝ぼけていたし、あなたの奥さんの顔も知らないんだから誰かは分からないけれど、女の人がベッドルームに来たことは確かよ。誰?って声を掛けたら出て行っちゃった。なんだか、ショートカットの小さい女の子」
仁の焦りを余所に、桃花はガウンを羽織り、リビングへ向かう。ソファに腰を下ろして、長い脚を組んだ。
「なんてこと……」
仁は立ちすくみ頭を抱える。
その時、足元にあるカードが目に入り、拾うと部屋のカードキーだった。
「葵……」
仁はスマホを手に取り、潤に電話を掛けた。
「ああ、潤。悪いが、部屋に来てくれないか」
『分かった、直ぐに行く』
短く要件を伝え、電話を切る。仁の焦った様子に、潤の声も強張っていた。
仁は桃香とは反対のソファに腰を降ろした。既に取り返しのつかないことになっていると分かっている仁は、落ち着かず、立ったり座ったりを繰り返した。
「ちょっと、落ち着いて座ったらどうなのよ」
「なんでお前が一緒に眠ってたんだよ。それに、服まで脱がしやがって」
「あら、随分ね。服は皺になると思って脱がしてあげたのよ。お礼を言って貰いたいくらいだわ」
悪びれた様子もなく桃香は反論しながらも、テーブルに残してあった、フルーツをつまむ。
「なんで帰らなかった」
「眠くなったから」
「だからって、俺と一緒のベッドに眠る事もないだろう! それになんだ、下着姿じゃないか!」
仁は立ち上がって、桃香を非難し始めた。自分でも、八つ当たりだと分かっていた。
ベッドから手さぐりで手に取る。
「……ん、……はい」
寝起きのかすれた声で仁はその電話にでる。
『仁? 眠ってたのか? 葵ちゃんは? 着いたんだろう?』
「ああ、潤か。葵?……おい! 今何時だ!」
ベッドから勢いよく身を起こし、時計を見る。
『おい、まだ着いてないのか? 仁?』
「いや、来ていてもおかしくない時間だ……悪い、後で電話する」
仁はスマホを切ると、頭を抱えた。今、自分が置かれている状況が理解出来たからだ。
「桃香……なんでお前がここに眠ってる」
「う……ん、仁、起きたの?」
葵と会った時の様に気怠く起き上がり、髪を掻きあげる。ゆっくりと目を開ける仕草は、計算された色気なのか。
「帰ってくれないか? 妻が来ると言ってあっただろう? こんな時間になっても着ていない所をみると、何かあったのかもしれない。連絡を取って探しに行く」
ベッドから降りて、ガウンを羽織り、ベッドルームを出てリビングに行く。
「奥さん? もしかしてあの女の子が奥さん?」
ベッドから怠そうに言う。
「女の子……? おい! 来たのか!? 桃香!」
ガウンがまるでマントの様に広がるように、仁は身体を反転させ、桃香がいるベッドルームに行く。のんびりとミネラルウオーターを飲んでいる桃香のグラスを取り上げた。
「もう、飲んでるのに何するの?」
再度、もうっといい、不貞腐れる。
「葵が来たのか? そうなのか?」
「私も寝ぼけていたし、あなたの奥さんの顔も知らないんだから誰かは分からないけれど、女の人がベッドルームに来たことは確かよ。誰?って声を掛けたら出て行っちゃった。なんだか、ショートカットの小さい女の子」
仁の焦りを余所に、桃花はガウンを羽織り、リビングへ向かう。ソファに腰を下ろして、長い脚を組んだ。
「なんてこと……」
仁は立ちすくみ頭を抱える。
その時、足元にあるカードが目に入り、拾うと部屋のカードキーだった。
「葵……」
仁はスマホを手に取り、潤に電話を掛けた。
「ああ、潤。悪いが、部屋に来てくれないか」
『分かった、直ぐに行く』
短く要件を伝え、電話を切る。仁の焦った様子に、潤の声も強張っていた。
仁は桃香とは反対のソファに腰を降ろした。既に取り返しのつかないことになっていると分かっている仁は、落ち着かず、立ったり座ったりを繰り返した。
「ちょっと、落ち着いて座ったらどうなのよ」
「なんでお前が一緒に眠ってたんだよ。それに、服まで脱がしやがって」
「あら、随分ね。服は皺になると思って脱がしてあげたのよ。お礼を言って貰いたいくらいだわ」
悪びれた様子もなく桃香は反論しながらも、テーブルに残してあった、フルーツをつまむ。
「なんで帰らなかった」
「眠くなったから」
「だからって、俺と一緒のベッドに眠る事もないだろう! それになんだ、下着姿じゃないか!」
仁は立ち上がって、桃香を非難し始めた。自分でも、八つ当たりだと分かっていた。